クールな野良猫男子には逆らえない。

「……柚華」


耳元で、悠雅が私の名前を呼んだ。
今まではお姉ちゃんとか、あんたとしか呼ばれたことがなかったのに。


「柚華……柚華」


確かめるように何度も名前を呼び、私の髪に頬をすり寄せる。


言葉なんかなくても充分伝わった。
悠雅が私を愛してくれていること。


「悠雅……」


胸が切なくて張り裂けそうになり、私は気がつくとぼろぼろと涙をこぼしていた。


悠雅の背中に腕をまわし、手のひらで感触を確かめる。


私達はいつまでもお互いの身体を離さなかった。


結局、私も悠雅も好きだと口にすることはなかった。
言わなくても、もうとっくに理解していたから。