部屋に入った悠雅は制服姿で、頭のてっぺんからつま先までびっしょりと濡れていた。


私は自室のタンスからタオルをふたつ取り出し、ひとつを悠雅に渡してお風呂に入らせ、もうひとつを悠雅が歩いた後に水滴がついた床を拭くのに使った。


廊下を拭き終えてリビングに戻り、そういえば悠雅の着替えを用意していなかったと思い出した私は、家中を探してやっと最初のお父さんのお古を見つけ出した。


ワイシャツにスラックスしかなかったけど、とりあえずこれを着てもらおう。


私は一応ノックして返事がないことを確認し、洗面所のドアを開けた。


「着替え置いとくからね。制服は私が乾かすから」


静かな浴室内に話しかけ、洗濯機の上に置かれた悠雅の制服を手に持ち、ドライヤーを取りに自室に寄ってからリビングに戻る。


乾燥機に入れるわけにはいかないし、このまま放置するのもまずい気がするので、ドライヤーである程度乾かしてからハンガーにかけて自然乾燥させることにしたが、お母さんがいないからこれで合っているのかどうかは謎である。


ドライヤーを戻すため自室に戻ると、洗面所のドアが開く音がした。