クールな野良猫男子には逆らえない。

「ごめんね、でもこれだけは譲れないの。私のことはいくらでも恨んでいいから」


私は不思議と穏やかな気持ちだった。
今ここにはいないのに、悠雅が側にいてくれているような、そんな感覚だ。


悠雅がいてくれるなら、私は強くなれる。
本気でそう思えた。


美咲ちゃんはしばらく私を呆然とした様子で見ていたが、乱暴に涙を拭うと私に背を向けた。


「好きにすれば。悠雅はあんたのものには絶対にならないから」


そう言って、美咲ちゃんは去っていった。


ひとりになってからようやく身体の震えに気付き、激しく脈打つ胸を手で押さえ、ふうと息を吐いた。


「……私、言えた。ちゃんと……自分の気持ち……」


一歩前に進めた気がして、私は無性に悠雅に会いたくなった。
悠雅に、背中を押してくれたことに対する感謝を伝えたい。


ただ、美咲ちゃんの最後の言葉が引っかかった。
悠雅は私のものにはならない……どういう意味なのだろう。
私と悠雅は両思いなのだと思っていたけど、違うのだろうか。