ポツポツと雨粒が窓を叩く音がする。
時計を見上げると、もう午前0時を回っていた。


リビングのソファに寝転がっていた私は起き上がり、テレビを消して戸締りを始める。


すると、突然インターホンが2回鳴った。


2回鳴ったのは、1階のエントランスからではなく玄関ドアのインターホンが鳴らされたからだろう。


こんな時間に……もしかしてマンションの他の住人が、緊急の要件でもあるのだろうか。


そう思ってドアスコープから外を覗いて、そこに立っている人物を見た私は衝撃を受けた。


まさか……そんなはずはない。
彼がこんなところに来るはずがない。


頭ではそう思うのに、気がつくと私はドアを開けていた。


「……どうしたの?」


平静を装いながら尋ねると、目の前の彼ーー悠雅は、全身ずぶ濡れの格好のまま、無表情で私を見た。


「……泊めて」


そう呟く悠雅の瞳は昔見た寂しそうな色そのままで、私は湧いてくる疑問を全て飲み込んで言った。


「どうぞ」


引き裂かれたはずの私と悠雅を繋ぐ細い糸が、再び繋がっていくのを感じた。