クールな野良猫男子には逆らえない。

「……あんた、鍵ぐらいかけろよ。てか、電気もつけずに何やってんの」


呆れたような声がして、悠雅が私の顔を覗き込む。
私は泣き顔を見られたくなくて俯いたが、悠雅は私の顎を掴んで上向かせると涙の跡を凝視した。


「……泣いてんの?」


私は何も答えられなかった。
悠雅はそんな私を感情の読み取れない深い色の瞳でじっと見つめる。


「何があった?言えよ」


悠雅の視線が痛いほど私に注がれる。
耐えられなくなって、私は悠雅から顔を背けた。


「なんでもないの……」


やっとのことで絞り出した声は、自分のものじゃないみたいに掠れて、震えていた。