その日、いつものように帰り支度を終えて廊下を歩いていると、開け放たれた窓から聞き覚えのある声がした。
「ねぇ悠雅、いいでしょ?」
思わず足を止めて窓から外を伺うと、中庭のベンチに悠雅と美咲ちゃんが並んで腰かけていた。
「最近全然うちに来てくれないじゃん。どこ泊まり歩いてるのか知らないけどさぁ、あたし一人暮らしだし、うちにいれば誰も文句言わないよ?だから、来てよ」
美咲ちゃんが悠雅の腕にしがみついてグイグイと引っ張る。
……悠雅は、美咲ちゃんの家にも泊まったことがあるのだろうか。
「ねぇ、悠雅聞いてるの?」

