クールな野良猫男子には逆らえない。





その後、私は田上くんにちゃんと告白の返事をした。


「ごめんなさい。貴方とは付き合えません」


はっきりと言って、頭を下げる。
すると、田上くんが「あいつのこと好きなの?」と聞いてきた。


「いや、あれは弟だから……」


私が否定しても、田上くんは納得がいかないようだった。


「あいつといても傷つくだけだと思うよ。今は良くても、そのうち耐えられなくなる時が来る」


「それは……」


言葉を詰まらせる私に、田上くんは笑いかけた。


「……ごめん、不安にさせるようなこと言って。ただの負け惜しみだから、あんまり気にしないで。じゃあ、色々とありがとう」


田上くんは私の返事を待たずに去っていった。


『今は良くても、そのうち耐えられなくなる時が来る』


田上くんの言葉が頭の中で何度も再生される。
もしかしたら、それは予感だったのかもしれない。


「その時」が、もうすぐそこまで迫っていると。