結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています

 北の領地を色々考えながら真剣に聞いてくれてるんだよね。だって、目はずっとこちらを見てる。
 資料を広げて時々見せながら説明してるんだけれど、そろそろ、アルバートは眠いかしら?と、何度か顔を見るんだけれど目が合うと嬉しそうな微笑みが帰ってくる。
 まぁなんてことでしょう。
 領地の話をこんなにうれしそうに聞くなんて……。
 もう、時期領主としての自覚が芽生えている?
 さすがうちの子。
 ……セバスが選んで選んで選び抜いて連れてきてくれただけのことはあるわ。
 よかった。これで領地は安泰ね。
 それにしても、こんなにうれしそうな顔をされたら、話を続けないわけにいかないけれど……。
 なんだか、あら……。
 ちょっと、私の方が、眠く……。
 大きく頭を横に振る。
 だめよだめ!まさか、子供よりさきに親が寝ちゃうなんて、ダメに決まってるわ。
 ああ、でも、眠気が……。
「リーリア様……?」
 誰の、声……。
 ……ああ、この香り……。
「お父様……」
 背中に置かれた手が温かい。お父様の香りがする。
「お父様……生きて……」
 生きてたんですね。ああ、そんなはずはない。
 いつも話を聞きながら寝てしまった私をベッドに運んでくれたお父様はもういない。
 病に倒れてからのお父様は、逆に私の話を聞きながら先に眠ってしまっていた。
 眠っている時間が次第に多くなり……。
「ああ、いや、お父様……私を……一人に、しないでっ」
 二度と目を開かなかった……。
 ……。
「お……とう……さ……ま……」

★視点変わります<アルバート視点>★
 驚くことばかりで、心臓がいつまでもつかちょっと心配だ。
 まさか、寝る前に、天使の二の腕を思い出しているところに、その天使が部屋を訪れるなんて!
 しかも、使用人もつけずに、一人で!
 その時の僕の気持ちが分かるか?
 まさか、もしや、いや、そんな、困る……わけはない、ウエルカムウエルカムってか、ちょっと困る、心の準備が、落ち着かないと、ああ、でも落ち着ける自信はない。
 据え膳、据え膳、据え膳……。
 頭の中ではいくつものシミュレーションが駆け巡り、みっともない姿を見せてしまって、天使に慰められるものまである。
 ああ、いや、それはそれでごちそう様なんだけれど、いや、心の準備!