結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています

 あれ?もしかして子爵家では家族だけで顔を合わせるようなことなかったのかしら?
 って、違うわ!
 セバスに性急にことをすすめようとしてはダメだって言われてたもの!
 ちょっといきなり距離を詰めようとしすぎて驚かれているというより……引いてる?
「驚かせてしまったわね、えっと、あの、セバスを」
 呼んでくるわと言おうとして、手首をつかまれた。
「必要ありませんっ」
 そして、そのまま引き寄せられ、部屋の中に足が一歩二歩と入る。
 私が部屋に入ってしまうと、アルバートは急いでドアを閉めた。
「えーっと」
 びっくりして思わず言葉を失う。

 アルバートの行為をどう理解すればいいのか。家族になる覚悟はできているから気を使わなくていいっていうこと?
 それとも、もう今更セバスを呼んでドアをノックするところから始めるのもバカみたいだってこと?
 眠いんだから、用事があるならさっさと済ませてほしいってこと?
 分からない。
「リーリア様、ど、どうぞ、その、少し驚いただけで、寝る前に顔が見られて嬉しいです」
 にこりとアルバートがほほ笑んだ。よかった。と、胸をなでおろす。
「ああ、そんなかしこまらないで」
 アルバートが、テーブルと椅子を用意しようとしている。
 ちなみに、部屋はだいたい同じ。
 南側に窓。東側にクローゼット。西側にベッドが寄せてある。中央には、ちょっとしたお茶を飲むためのテーブルと3客の椅子。物を書いたり本を読んだりする机は、北に配置してある。
「ほら、ここに座って」
 ベッドに近づき、ぽんぽんとアルバートに座るようにジェスチャーをする。
「あ……の……」
 顔を真っ赤に染めるアルバート君。
 あ、そうか。子供にするって、子ども扱いするって意味と勘違いしてるのかも?
 さすがに私、なんて言ったかしら?バブミ?なんか赤ちゃんゴッコをしたいから養子を迎えるわけじゃないんだけど。
「ああ、別に、子供扱いしてるわけじゃないわよ?添い寝が必要なおこちゃまとか思って見に来たわけじゃないの。えーっと、そう、2人の子供を育てているハンナにね、親子ってどう過ごすのか聞いたら、小さいころは添い寝。少し多くくなって絵本を読んであげる、もっと大きくなるとお話をしてあげると聞いたので、えーっと、話をしに来たのだけれど」
 私の言葉に、アルバートが小さな笑いを漏らした。