僕はお城を除いて王都1の豪邸。
 ロマルク公爵邸の一部屋に通されていた。
 え?
 あれ?聞いてない。
 公爵家?
 しかも、ロマルク公爵?
 僕がそこに婿入り?いやいや、だって、30歳とはいえ、ロマルク公爵令嬢であれば、くらだって選べる立場じゃない?いくらイケメンといえど、僕レベルは親衛隊にはわんさといるわけで。年齢的にも釣り合いが取れて、家柄でも釣り合いが取れる男性は他にいくらだって……。
 侍女に囲まれ部屋に入ってきた女性の顔を見る。
 いや、ちょっと待ってくれ。
 僕の想像していた女性と全然違う。
 なんで、性格が悪そうな感じが少しもない。
 なんで、華のような可愛さがあるのか。
 いや、ますます、選び放題じゃない?
 なんで、僕?
 すごく光栄で、幸せで、本当に僕と結婚してくれるの?僕が婿でいいの?幸せとはこのことだろうか。
 と、ぼーっと見とれている僕に、理想の塊が口を開いた。
「申し出を受けてくださり感謝いたします」
 声まで好みだ。
「私のことは、お義母さんと呼んでくださいね」
 は?
 い?
 義母さん?
 愛しのハニーとかでなく?
 まさか、話をよく聞いてなかったけれど、僕は、この理想の塊の女性の子供(幼女)と結婚させられるの?
 そこで、意識を失った。


■★<主人公リーリア視点>★
「そろそろ、御父上がお亡くなりになって、そろそろ1年、喪が明けますでしょう」
 面会の間。
 面会に訪れたのは、贅肉が重たそうなつるつる頭の……そう、ツールニ伯爵だったかしら。
 1年前……父であるロマルク公爵が亡くなった。
 公爵令嬢であり、一人娘だった私は、その1年前に、父の後を継いだ。
「いつまでも、女公爵という立場では、さぞご不便を感じていらっしゃると私は心配しているのですよ」
 まぁ、確かに不便は不便なことは確か。
 女のくせにという人間がやたらと多くて癖壁している。
 高位貴族の務めである、年に3度の貴族議会に出席しても。何を発言しようとも「女が知った風な口を利くな」と一蹴にされるのは当たり前。
 何を言っても無駄ならば今度からは欠席しようと思いますと言えば「いやいや、貴重な意見でした」など手のひらを反すのにも腹が立つ。