結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています

「その、養子になった暁には、お義祖父様に当たる方になるわけですよね。周りの方がご存知なのに、義理とはいえ孫である僕が何も知らないのでは、いろいろと……」
「さようでございますか。確かにそうですね。流石はアルバート様です。先の先を見越して準備に余念がないとは。養子として社交の場に顔を出した時のことをすでに考えはじめていらっしゃるのですね。そうだ……」
 ふと、何かを思いついたようにセバスが顔を上げる。
「旦那様がご使用になっていたものをいくつか運ばせましょう。ああ、大丈夫です。女性でも使える物や形見として残したい物はすでにリーリア様の手に渡っております。あとは処分して頂戴と言われた品ですから。見知らぬ人に使われるよりも、アルバート様に使われた方がお嬢様も喜ぶでしょう」
 服や小物などサイズが問題なさそうな物が次々と運ばれクローゼットに収められていく。
 ……これを、処分か。うちとは大違いだなぁ。
★■7
 兄から弟へ、弟からさらに弟へ……と、衣類は誰かが着なくなったからと処分することは無かった。もちろん、末っ子である僕の後には兄の子供へと回っていった。
 父は、亡くなった祖父どころか曾祖父か、その上か……。代々受け継がれと言えばご先祖様を大切にしている、家の歴史を重んじているように聞こえるけれど、要は、服をホイホイと買えるだけの財力が無かっただけのこと。
 と、実家のことを思い出して苦笑していたのをセバスに見られた。セバスがクローゼットの中を見てハッとする。
「ああ、失礼いたしました。侍女にしっかりと伝えなかった私の落ち度です。新しい物をというのをまだ袖を通していないものだと伝わっていなかったようで。申し訳ありません」
 セバスさんが、いかにも古着に見える服に慌てて手を伸ばした。
「いえ、気を悪くしたわけではないですから。思った以上に多く、僕がもって来た荷物の何倍もあることに驚いただけで」
 と、適当なことを口にする。
「それは、こちらから、必要なものはご用意させていただきますので、荷物は最小限で構いませんとお伝えしましたので。ああ、服については、後日採寸したのち作らせますのでご安心ください」
 セバスも、新しい服を作らずにお古を僕に着せるつもりだと思われるのは僕を冷遇してないがしろにしようとしてると思われないかと焦っているのか、少し早口で言葉を口にする。