結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています

 それにしても、本当に綺麗な顔をしているわね。お父様も若い頃はこんな感じだったのかしら?さぞ、モテたでしょうね……。
 ああ、アルバートもモテますね。そりゃうちの子世界一ですから。そうでなくちゃ。

「あ、あの、僕、何か失礼を?」
 あんまり私がジーっと見ていたので、アルバートがおずおずと尋ねてきた。
「いえ、その」
 心の中でうちの子自慢を少し……とも言えないので。
「美味しそうに食べているのを見て、肉料理を用意してよかったなぁと……」
 アルバートが私の言葉ににこりと笑う。
「僕のためにありがとうございます。本当に美味しいです」
 キラキラっとした笑顔を向けられる。か、か、可愛いんじゃない?なんか作り笑顔ばかりの貴族社会に生きていると、本当に笑っているかどうかなんてすぐに見破れるものよ。
 領地で出会った人たちの領民たちの笑顔は本物だった。父もハンナもセバスも……。
 そして、今、目の前にいるアルバートも、作り笑顔じゃなくて、本当の笑顔だわ。
 これって、家族への第一歩じゃないかしら?それとも、アルバートは誰にでもこういう笑顔を向けるのかしら?
「アルバートの好きな食べ物、これから色々教えてね。毎日好きなものが食べられるわけではありませんが、週に1度は出してもらいましょう」
 そうです。好き嫌いはママ許しませんよ?
「何が食べたい?
「僕が心から食べたいものは……目の前に……」
 アルバートが恍惚ともいえる表情を見せる。
 目の前にって、肉ですよね。そっか。本当に肉が大好きなんだ。
 ハンナの言う通りだった!肉、大正解!
「あ、いえ、えっと、好物ですか、あ……よく友人にも驚かれるんですけど、人参とか」
 ……。
 え?
 に、に、に、に、……人参?
 まさか、に、に、にって言ってたのって、この、肉の横に憎らしく置かれている人参を見て、好物の人参だ!と言いたかったとか?
 人参が好物なんて言い出せなくてはっきり口にしなかっただけとか?
 っていうか、私……。
 週に1度は好きなものを出してもらいましょうって言っちゃったけど、月に1回じゃだめかしら?
 だめ、かしら?
 あ、そうだ。
「もっと、人参いかが?」
 目の前にある鉄板の上にころんと載ってる人参をフォークで突き刺し、差しだしてみる。
 セバスの目が怖い。