結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています

「そうですねぇ、動きやすい服装がいいと思います。子供に手を伸ばして口の周りの汚れをふき取ったり、食べたくないとわがままを言ったものを口に運んだりすることがあるので。袖がヒラヒラとしたりリボンなどテーブルの上で邪魔にならないデザインのものがいいと思います」
 なるほど。
 そういえば、お父様にも小さいころに口周りの汚れをふき取ってもらった記憶があるわ。
 父上と食事しないときには、ハンナに指摘されて自分でぬぐっていたんだけれど。お父様は指摘するより先に行動に移されてた。
 それが、家族……?
 お父様との食事を思い出す。
「ありがとう、ハンナ。人参が食べたくないと言ったら、好き嫌いはダメですよとたしなめるのも親の役割ですね!」
「そうです(親だけでなく侍女だった私もずいぶん人参の件でたしなめましたねぇ。リーリア様、今でも時々こっそり人参残そうとしますし……)。もちろん、親は、子供の見本とならなければいけません。好き嫌いは許されませんね」
 うぐっ。
 そ、そうよね。そりゃそうよ。
 お父様だって、ピーマン大好きだって言いながら食べてたもの。本当は嫌いだって、顔を見ていたら分かるんだけれど。
 あれ、私のためだったんですよね……。
 よし。
「ハンナ、大丈夫よ!私、人参には負けないわ!……ちゃんと立派な親になって見せます」
「頑張ってくださいね~。そうそう、嫌われないように、初めは嫌いな物半分食べたらあと半分は食べてあげるとか飴と鞭も大切ですよ!」
 え?
 アルバートが残した人参も私が食べなくちゃいけないってこと?ど、どうしよう……もし、アルバートが本当に人参嫌いだったら……。
 どうか、アルバートが好き嫌いの無い子でありますように!

 夕食は、お父様が元気なころに一緒に食事をしていた食堂で取ることにした。
 お父様が病に倒れてからはお父様の寝室で。
 亡くなってからは、一人での食事が寂しくて、自室でハンナと一緒に食事をしていた。自室だったのは、使用人が一緒に食事なんて貴族としてあり得ない行為だったから、人目のない自室で食事をしていたのですよ。もちろん、ハンナ以外の使用人も知ってたけれどね。
 よく考えれば、ハンナには自分の家族と食事をとる機会を奪っていたということになるよね……。悪いことをしていたわ……。