結婚はあきらめ養子を迎えたら、「お義母様大好き」と溺愛されています

 そうよね。何歳の子が養子になるかなんて、私が勝手に小さな子供を想像していただけで。
 ……今更、ちょっと年齢が……とか言えないわよねぇ。うん。大丈夫。ちょっとびっくりしたけれど……。
 って、待って、ずいぶんアルバートの方もビックリした顔をしているようだけれど……。
 私みたいな若い……いや、若くはないんだけれど18歳の子供を持つ親としては若い人間が義母になるとは思ってなくてびっくりしているのかな。
 せっかくセバスが条件にある子を見つけてくれたんだもの!
 何としても、お試し期間の半年で好きになってもらって養子になってもらわなくちゃ!
 まずは第一印象。できるだけ優しそうな声で話しかけるのよ。頑張れ、私。
「申し出を受けてくださり感謝いたします」
 アルバートがふっと小さく口元を緩めた。
 よし、第一印象オッケー。

 続いては、そう、距離を縮めるために。堅苦しくなく話かけてもらうために。
「私のことは、お義母さんと呼んでくださいね」
 にこりとほほ笑んだとたんに、バタンとアルバートが倒れた。
 うえええーーーっ!
 何で!
 どうして!
 やっぱり、私の養子になるなんて、意識が遠のくほど嫌だったのぉぉぉぉ?!

「ハンナ、ハンナぁぁ!子供が、子供が喜ぶことを教えて頂戴!男の子よ、男の子!」
「ああ、そう言えば、今日アルバート様がおみえになるとおっしゃっていましたわね。お世話をして差し上げられないのが残念ですわ……」
 ハンナは、2日前に階段から落ちて足を骨折して侍女の仕事はお休みである。
 だけれど、いろいろとハンナに確認を取らないと分からないことが多いため、屋敷と隣接する小ぢんまりとした家で養生してもらっている。もちろん、ハンナの旦那さんと2人の子供も一緒に生活している。
 困ったことがあると、すぐにハンナを訪ねて行けるのでとても便利。
「そうですねぇ。うちの息子たちがそろって喜ぶのは、肉ですね」
「え?肉?」
「そうです。夕飯にたっぷりの肉を用意すれば、きっと喜ぶと思います」
 そうか。肉か。肉。
 何か贈り物とか考えていたけれど、そうよね。男は胃袋をつかめって言うし。
 いや、ちょっと使うタイミングが違う?
 でも、まぁ、同じような物ね。
 美味しいものが食べられて嬉しいな。公爵家の養子になりたいなって図式ですね。