僕は、1つため息を付くと服のポケットから1枚のお札を取り出した。お札を投げると、お札は光を放って狼に姿を変える。

この狼は、僕の式神。世界探偵団にいる人は、不思議な力だけじゃなくて、式神も使えるんだ。

「……あの男の子を捕まえて」

僕が命令すると、狼は男の子に向かって走り出して男の子の目の前に立つ。

「今だ」

男の子の足に、ツタが巻き付いた。ラファエルは、ゆっくりと男の子に近づく。僕はいつの間にかお札になっていた式神を拾って、ポケットにしまった。

「……そのペンダントを返して」

ラファエルが男の子に手を出す。男の子は「嫌だ!」とラファエルにペンダントを渡そうとしない。

「……渡したくない理由でもあるの?」

僕が問いかけると、男の子は俯いた。……何かありそうだな。

「これは、俺の妹が大事にしてたやつだ!」

ぎゅっとペンダントを握り締めて、男の子は言う。

「……その妹さんはどこに?」

「それが……いなくなったんだ。俺と俺の妹……雪奈(ゆきな)が……」

「……じゃあ、僕たちと探そう!」

僕は、笑って男の子を見た。男の子は、嬉しそうな顔で僕を見る。

「……俺、冬也(とうや)!お前らは?」