「……苦戦してると思った。だから、助けに来た」

……この声は……。

暗闇から、皆が姿を現した。その中には、デウスもいる。

「……今回だけだぞ?カタリーナ・アルジェルト。次からは認めんからな!」

そう言って、デウスは姿を消した。

「お前ら……何で?」

「何で?……じゃねぇよ!あたし、依頼書から見えてしまった依頼場所の近くまで悪霊の数を把握しに来たんだ。こんな数、1人で退治し切れるはずがない!」

「でも、これは仕事だ!俺は、デウスから試練を出された。だから、俺1人で倒し切らないと!」

「……ふざけたことを言わないで……」

俯いていたアレクサンドルが顔を上げる。アレクサンドルの表情は、どこか悲しそうだった。

「僕たちは仲間でしょ!?少しは頼ってよ!1人で何でも解決しようとしないで……」

いつも笑ってばかりのアレクサンドルは、そう言いながら泣き出す。その様子に、皆は驚きを隠せなかった。

「……」

俺は、アレクサンドルの言葉に何も返すことが出来なかった。

「だからな、あたしがデウスに頼んだ。コスティアの手助けをしてもいいか、な。最初は『無理だ』って断られた。だが、何回も頼んだら『今回だけだぞ!』って了承してくれた。デウスにこの廃ビルまで案内してもらって、そこから菊の式神にコスティアを探してもらったんだ」