メイク道具を買った後は、あたし達は袖川さんの家へ向かった。


ちょうど袖川さんのお父さんとお母さんも仕事でいないため、彼女も快く家に入れてくれた。


袖川さんの部屋は、すごく可愛い。パステルピンクのカーテンに、薄い茶色の机や椅子。うさぎのぬいぐるみなど、全体的に柔らかいイメージがあって、女の子の部屋のお手本といった感じだった。



「そ、袖川さーん……。アイシャドウって、どうすればいいの? わたし、わかんなくて」



「アイシャドウのやり方はねー……」



袖川さんは、愛菜の目に丁寧にアイシャドウを塗ってあげている。



「あ〜、星野さんちょっと待って!」



あたしがマスカラを塗ろうとしたら、袖川さんにチラッと見られたみたい。



「マスカラは、こんな感じで塗った方がきれいに仕上がるんだー」



「ありがとう!」



あたしも愛菜も、ほとんど袖川さんにやってもらったかたちだけれど、とにかくメイクの完成だ。



「やばいって、もうめちゃくちゃ可愛いよ2人とも〜! これで外歩いたら、可愛すぎて変な男に絡まれちゃわないか、不安になっちゃう〜!」



完全に、袖川さんは人のこと言えてない。


ピュアレッドのグロスで、唇がテカテカしていて、もし袖川さんに彼氏ができたら、その人はキスしたくてたまらなくなるだろう。