痺れを切らしたみたいに言われて、かと思ったら呼吸が出来なくなった。
唇が触れたと同時にすぐさま目を閉じて両手を少し常陸から離すのに、掴まないようにして震えていた手を掴まれて首の裏を抑えた片手にさらに深くく、と口付けられ角度を変えられる。
「常陸」
「ん」
「常陸まって」
「なに」
「間違ってる」
「間違いって何」
「え、」
「正解ってなんなの」
至近距離で灰緑色にそう問われ、また唇が重なる。その感覚が前に颯くんとしたそれよりずっとずっと胸が苦しくて、心地良くて、離したくない切ない愛おしさだったから、キスをしたまま私もいよいよ常陸の首に腕を回した。
どれくらい時間が経ったのかしばらくずっとそうしていて、午後の授業を報せる予鈴が鳴ったころほぼ唇が重なったまま吐息越しにお互い濡れた視線で見つめあう。
「…一回したやつはぜってー再犯する」
「…再犯、」
「許さなかったらそれで終わりだ。だから俺たちはお互いの相方を許した」
「…しなかった、ら?」
「わかってねーな佐々山は」
さっきと同じことを言われて、また深く口付けられる。もう午後の授業始まるってわかってても、この部屋に暗幕を引くのを忘れてても、そこに常陸がいたらそれでよかった。触れてるのにもっとくっつきたく、混ざり合って溶けてしまって世界がいっそ二人だけになればいい。他なんて全部邪魔で、正当じゃない世界のうえ、ひん曲がった地盤を足元にくたびれた私を支えて常陸が最期に呟いた。
「こっから俺たちの復讐が始まんだよ」
痺れを切らしたみたいに言われて、かと思ったら呼吸が出来なくなった。
唇が触れたと同時にすぐさま目を閉じて両手を少し常陸から離すのに、掴まないようにして震えていた手を掴まれて首の裏を抑えた片手にさらに深くく、と口付けられ角度を変えられる。
「常陸」
「ん」
「常陸まって」
「なに」
「間違ってる」
「間違いって何」
「え、」
「正解ってなんなの」
至近距離で灰緑色にそう問われ、また唇が重なる。その感覚が前に颯くんとしたそれよりずっとずっと胸が苦しくて、心地良くて、離したくない切ない愛おしさだったから、キスをしたまま私もいよいよ常陸の首に腕を回した。
どれくらい時間が経ったのかしばらくずっとそうしていて、午後の授業を報せる予鈴が鳴ったころほぼ唇が重なったまま吐息越しにお互い濡れた視線で見つめあう。
「…一回したやつはぜってー再犯する」
「…再犯、」
「許さなかったらそれで終わりだ。だから俺たちはお互いの相方を許した」
「…しなかった、ら?」
「わかってねーな佐々山は」
さっきと同じことを言われて、また深く口付けられる。もう午後の授業始まるってわかってても、この部屋に暗幕を引くのを忘れてても、そこに常陸がいたらそれでよかった。触れてるのにもっとくっつきたく、混ざり合って溶けてしまって世界がいっそ二人だけになればいい。他なんて全部邪魔で、正当じゃない世界のうえ、ひん曲がった地盤を足元にくたびれた私を支えて常陸が最期に呟いた。
「こっから俺たちの復讐が始まんだよ」



