「瑠海ちゃん、お待たせ。」

「いえ。あの、ドラマの撮影の事なんですけど、予定表って。」

「あ、言ってなかったけ?後で言うね。」

まず、控え室でメイクとかして貰って、スマホと台本を持って、

集合場所に行った。

そこに行くと、響さんと奏さんが居た。

監督が困ったように、うずうずしていた。

「あの、監督。どうかしたんですか?」

「ドラマの主人公の子が、いきなり辞めたいって言い始めちゃって、
今日も来ないってなって。」

え!!

めっちゃ、ピンチじゃない?

「あの、もし良かったらなんですけど、私に主人公やらせて
貰えませんか? 」

無茶な事は分かってる。

スタッフさんも戸惑ってるし。

「分かった。じゃあ、主人公のセリフで今ここで演技してみて。」

「分かりました。」

セリフは、台本読みながら全部覚えたから大丈夫。

その場所、その人の表情さえも想像したから。

「瑠海ちゃん、君に主人公を任せるよ。」

「ありがとうございます。主人公の代わりを務められるように、
精一杯頑張りたいと思います。」

私を中心としたドラマがスタートした。

響さんと奏さんは、仕事に入ると雰囲気が全然違くて。

今日も上手くいった!

「瑠海ちゃん、これ。」

「清水さん、なんですか?」

「眼鏡。瑠海ちゃんに似合いそうなの探したんだよ。 」

「ありがとうございます。」

気を使って、買って来てくれたみたいで。

清水さん、いつもありがとうございます。