眠り続ける男性を見て、相談室からやってきた結弦が言う。和都も倒れた理由が気になるので、結弦と共に男性が目覚めるのを待つことにした。

男性が目覚めたのは、夕方になってからだった。その目がゆっくりと開き、結弦が「大丈夫ですか?」と声をかけると男性は顔を真っ青にしながら飛び起きる。

「も、申し訳ありません!ご迷惑をおかけして!」

何度も謝る男性に、和都は「大丈夫ですよ」と優しく微笑んだ。男性は謝るのをやめたものの、その顔は罪悪感で満ちている。

「あなたは歩いていたら急に眠ったんです。こういうことはよくあるんですか?」

結弦の問いに男性はコクリと頷く。そして、一年ほど前からこの症状があることを教えてくれた。

「夜にどれだけ寝ても、昼間に気が付いたら眠ってしまうんです。朝の通勤の途中で電車の中で寝てしまったり、大事な会議中に寝てしまったこともあります。そのせいで仕事を失いました。でも、昼間に寝てしまう僕を雇ってくれるところなんてどこにもなくて……」