結弦の問いに、江藤刑事は「いや、健康そのものだよ」と答える。和都はどんな病気かを読んだ医学書を思い出しながら考える。十歳の子が脳梗塞や生活習慣病が原因の病気は考えられにくい。それならばーーー。
「ひょっとして……一過性全健忘じゃないでしょうか」
「一過性全健忘?」
和都の言葉に江藤刑事が首を傾げる。結弦が「俺もそう推測する」と言い説明を始めた。
「一過性全健忘は、頭の外傷を原因とせずに新たな記憶が一時的にできなくなる状態のことを言うんだ。自分や家族の名前、年齢などは覚えているが、自分が今どこで何をしているのかがわからなくなるのが主な症状。通常は二十四時間以内に症状は回復するが、回復しても発症中のことは思い出せないことがほとんど。脳梗塞やてんかんなどの病気が隠れている場合もあるから注意が必要なんだ」
「中年以降の男性が発症するケースが多いので、珍しいですね」
和都がそう言い、江藤刑事が「やはり、原因は両親が殺されてしまったことなのかな」と呟く。
「ひょっとして……一過性全健忘じゃないでしょうか」
「一過性全健忘?」
和都の言葉に江藤刑事が首を傾げる。結弦が「俺もそう推測する」と言い説明を始めた。
「一過性全健忘は、頭の外傷を原因とせずに新たな記憶が一時的にできなくなる状態のことを言うんだ。自分や家族の名前、年齢などは覚えているが、自分が今どこで何をしているのかがわからなくなるのが主な症状。通常は二十四時間以内に症状は回復するが、回復しても発症中のことは思い出せないことがほとんど。脳梗塞やてんかんなどの病気が隠れている場合もあるから注意が必要なんだ」
「中年以降の男性が発症するケースが多いので、珍しいですね」
和都がそう言い、江藤刑事が「やはり、原因は両親が殺されてしまったことなのかな」と呟く。


