苦しげにそう言う男性の手を和都はそっと包んだ。男性はきっと眠気が昼間にも現れることで不安を感じている。「大丈夫」という言葉だけではその不安は消えないのだ。

「寝ても睡魔が襲ってくる……」

和都はどんな病気があるのか考えてみる。夜更かしをしてしまったり、お腹がいっぱいになると自分も眠くなってしまうことがあるが、男性の場合は度を越えている。

「睡魔があること以外に症状はありますか?」

結弦が訊ねると、男性は「あります」と答えた。笑ったり驚いたりすると全身の力が抜けてしまったり、怖い夢を見て目覚めた後しばらく体が全く動かせないことがあるという。

「きちんと病院で検査を受けてもらわないとはっきりしないのですが、おそらくあなたはナルコレプシーという病気の可能性があります」

「ナルコレプシー?」

男性が首を傾げ、和都が「睡眠障害の一種です」と言う。そして、すぐに病名を推測する結弦はさすがだと思いながら和都は結弦の話を聞く。