「…あれ?」

美紀が茉莉花の顔をじっと見つめた。

「吉住さん、どうかしましたか?」

何故か自分の顔を見つめる美紀に、茉莉花は声をかけた。

「何でしょうかね…?」

美紀は訳がわからないと言った様子で首を傾げた。

何かよくないことが美紀に見えたのだろうか?

「よくわからないんですけれど…先生、気をつけてくださいね。

車とかウイルスとか、いろいろと気をつけてくださいね」

美紀は言った。

「え、ええ…わかりました…」

何が見えたのかはよくわからないけれど、茉莉花は気をつけようと思いながら返事をした。

「それじゃあ…先生、さようならー」

「また来週ね」

美紀が手を振りながら教室を後にしたので、茉莉花も彼女に手を振り返した。