初めて彼女を見たのは、5年前の夏だった。

「デカいな…」

150センチくらいあるであろう黄色い花が咲いている植物に、清瀬は呟いた。

よく晴れた青い空に黄色い花がよく映えている。

その光景が美しくて見とれていたら、
「女郎花って言うんです」

誰かの声が聞こえた。

「えっ?」

声のした方に視線を向けると、そこには1人の女性がいて微笑んでいた。

「オミナエシ…?」

そう聞き返した清瀬に、
「秋の七草の1つとして奈良時代から鑑賞されてきた花です。

今が見頃の時期なんですよ」

彼女は嫌な顔を1つもしないで、微笑みながら答えた。

フワリと、彼女の躰から花のような香りがした。

香水か柔軟剤の香りなのか、それとも女郎花の香りだったのか、この時はわからなかった。

これが嶋佐茉莉花との出会いだった。