慌てて改札を抜けて電車に乗り込んだ私たちは、自分たちの降りる駅まで開かない扉に身体の半分をそっと預けた。
目を閉じるとどっと疲れが押し寄せてくる。
「……眠たいですか?」
「うん……。ちょっと疲れちゃって……」
少しでも意識を保とうと手の甲で両目を擦ってみるが、ちっとも眠気覚ましにはならなかった。
「じゃあ、僕の肩貸しましょうか?」
「えっ! ……いや、いいよ」
「でも、眠いんですよね?」
「……もう、覚めたから大丈夫」
どこかの誰かさんの爆弾発言のお陰で、すっかり目が冴えてしまった。
肩なんて借りたら、仮眠どころじゃない。ドキドキしすぎて、頭が爆発してしまいそう。
そんな意味を込めた言葉に過ぎなかった。
だけど、「そうですか」と呟く彼の声はやけに元気がないように感じられた。



