***
紫織の実家は登録してある。
その住所を頼りにタクシーに飛び乗った。
――どうか、どうか間に合ってくれ。
『藤乃屋』の看板を見て、タクシーから飛び降りた。
閉店中の札がかけられた店内に、紫織の姿が見えた。
開いていたガラス扉から聞こえた声。
「宗一郎と、私が、きょうだい?」
「あの時には、そんなこととても言えなかった。ふたりが引き寄せ合ったのは血のせいなのかしらと思ったわ」
――違う! 違うんだっ!
「違うんです! それは」
ハッとしたように振り返った紫織の母に訴えた。
「違うんです。兄妹ではなかったんです。わたしの母が養育費ほしさに嘘を。違うんです。兄妹じゃない」
「――宗一郎?」
「ごめん。紫織。ごめんな」
床に膝と両手をついた。
「すみません。全て母の嘘でした。藤村さんは俺の父親じゃない。いただいた養育費は一日でも早く返させて頂きます。すみません。本当にすみません。申し訳ありません」
――ここまでは考えていた。
謝って謝って。
それで、これから先――。
俺はどうしたらいいのだろう……。俺は。
「――宗一郎?」
抱え込むように宗一郎の背中に手をまわした紫織は、訳も分からずただ彼の背中を撫でた。
「宗一郎さん、顔をあげてください。もう少し詳しく事情を聞かせてる?」
屈んでそう声をかけた紫織の母の声色は、怒ってはいなかった。
「それで、お金を振り込んでくれていたのね? 宗一郎さん、顔をあげて、もう少し詳しく話を聞かせてくれる?」
紫織の実家は登録してある。
その住所を頼りにタクシーに飛び乗った。
――どうか、どうか間に合ってくれ。
『藤乃屋』の看板を見て、タクシーから飛び降りた。
閉店中の札がかけられた店内に、紫織の姿が見えた。
開いていたガラス扉から聞こえた声。
「宗一郎と、私が、きょうだい?」
「あの時には、そんなこととても言えなかった。ふたりが引き寄せ合ったのは血のせいなのかしらと思ったわ」
――違う! 違うんだっ!
「違うんです! それは」
ハッとしたように振り返った紫織の母に訴えた。
「違うんです。兄妹ではなかったんです。わたしの母が養育費ほしさに嘘を。違うんです。兄妹じゃない」
「――宗一郎?」
「ごめん。紫織。ごめんな」
床に膝と両手をついた。
「すみません。全て母の嘘でした。藤村さんは俺の父親じゃない。いただいた養育費は一日でも早く返させて頂きます。すみません。本当にすみません。申し訳ありません」
――ここまでは考えていた。
謝って謝って。
それで、これから先――。
俺はどうしたらいいのだろう……。俺は。
「――宗一郎?」
抱え込むように宗一郎の背中に手をまわした紫織は、訳も分からずただ彼の背中を撫でた。
「宗一郎さん、顔をあげてください。もう少し詳しく事情を聞かせてる?」
屈んでそう声をかけた紫織の母の声色は、怒ってはいなかった。
「それで、お金を振り込んでくれていたのね? 宗一郎さん、顔をあげて、もう少し詳しく話を聞かせてくれる?」



