具現化アプリ

《ノドカ:昨日は楽しかったね! またデートしようね》


ハートの絵文字付きでそう書かれているのが見えたのだ。


「返してよ!」


次の瞬間にはノドカに奪い取られてしまっていた。


「ちょっと……今のなに?」


つい、声が低くなり威嚇するような声色になってしまう。


「な、なにってなにが?」


ノドカは必死で隠そうとする。


「今の、男の人とのメッセージだよね?」


そう聞くと、ノドカはあきらめたようにため息を吐きだした。


「そうだよ」


「それって誰? なんでハートの絵文字なんて送ってるの?」


「前に1度言ったでしょ? 好きかも知れない人がいるって」


そう言われて、あたしはその時の会話を思い出した。