具現化アプリ

「ミキコ、どうしたの?」


1人で思い悩んでいるとノドカに声をかけられ、ハッと我に返った。


いつの間にか朝のホームルームが終わっている。


「な、なんでもないよ」


「でも、顔色が悪いよ? 保健室に行く?」


「そう? 本当に大丈夫だから」


あたしは無理やり笑顔を浮かべた。


保健室で1人になると、余計に色々なことを考えてしまいそうで嫌だった。


「それにしても、吉田さんどこに行ったんだろうね?」


ノドカの言葉にあたしは返答できなかった。


吉田さんは消えたよ。


あたが出現させた階段と一緒に、消えていなくなったよ。


そんな言葉が喉まで出かかった。