具現化アプリ

待ち合わせ場所に到着したとき、コウダイは先に来てジュースを飲んでいた。


「ごめん、遅くなった」


「いや、俺も今来たところだよ。なにか注文する?」


ここまで歩いてきたのと緊張とで、喉はカラカラになっていた。


ドリンクバーで麦茶を持ってきて、ようやくひとごこちついた。


「それで、アプリの話だよね?」


「そう。これなんだけど、見たことある?」


コウダイはテーブルの上にスマホを出して画面を見せてきた。


そこには《具現化アプリ》というものが表示されていた。


「なにこれ? 見たことないけど……」


「だよな。なんでも、このアプリに写真やイラストを取り込むと、それが現実世界に出てきてくれるらしいんだ」


コウダイの説明にあたしは瞬きをした。


「3D映像で飛び出してくるってこと? それとも、VRなの?」


コウダイは左右に首をふる。


「そうじゃない。映像じゃなくて、実際に出てくるんだよ」


コウダイの真剣な表情にあたしはキョトンとしてしまった。