具現化アプリ

そこにいたのは体が透けて半透明になった男の子だった。


男の子は一生懸命ドリブルをしてゴールにめがけてボールを放っている。


その様子を見た瞬間、コウダイくんが息を飲むのがわかった。


「嘘だろ、マジでいるじゃん……!」


自分でも気がつかないうちに、小声になっている。


あたしの腕を痛いほど掴み、体育館にいる男の子を凝視している。


「でしょう?」


あたしはいい気になって言う。


「これって写真とか撮ってもいいのかな?」


「悪い霊じゃないから大丈夫だよ」


「やった、ラッキー」


コウダイくんの顔はさすがに青ざめているけれど、心の底から怖がっている様子はない。


「本当は好奇心でこんなことしちゃダメだよ?」


撮影をするコウダイくんへ向けて言う。


今はあたしが出現させた幽霊だからいいけれど、万が一別の場所で本物に遭遇したら……と、懸念したのだ。


まぁ、幽霊なんてあたしは信じてないけどね。