具現化アプリ

これは面白い話をきくことができそうだ。


あたしはオレンジジュースを一口飲んで、身を乗り出した。


「困ってることがあるなら、相談に乗るよ?」


「でも、ミキコちゃんにそこまで迷惑をかけるわけにはいかないから」


コウダイくんが我に返ったように言う。


「あたしなら迷惑でもないんでもないよ? コウダイくんのこと、もっと知りたいし、力になりたいと思ってる」


そう言うと、コウダイくんの頬がほんのり赤く染まった。


「ミキコちゃんは優しいな」


「そんなことないよ? ノドカだって、いい子じゃん」


「いい子だけど、でもなぁ……」


コウダイくんは大きくため息を吐きだした。


「ノドカはメッセージの返事が5分遅れると毎回電話をかけてくるんだ」


「へぇ? そうなんだ?」


「電話に出たら1時間は切らないし、一緒にいると余計に息が詰まるし……」


コウダイくんはノドカへの不満を次々吐き出していく。


今までずっと我慢していたのかもしれない。