具現化アプリ

力なんてもともと持っていないから、何を見たって平気だった。


「それならさ、桜の木の下に死体が埋まってるっていう噂はどう?」


そう聞いてきたのは別のクラスメートだった。


いつの間にかあたしたちの会話を盗み聞きしていたみたいだ。


桜の木の下にある死体というのも、学校の七不思議ではよくある話だった。


桜の花がピンク色なのは、死体の血を吸っているからだとか、なんだとか。


「今度見てみようか」


あたしは笑顔で答える。


有名な都市伝説ものなら、いくらでも資料がある。


関連する写真だって沢山あるから簡単な作業だった。


先生が来てみんなが席についてから、あたしは机の下でスマホを操作し始めた。


相変わらず、先生は吉田さんについての話をしているけれど、ここ数日はそんな話をまともに聞く生徒はいなくなっていた。