小学校時代のあたしなら、なにも言えなくなってしまっていただろう。


でも今は違う。


あたしは真っすぐにマナミを見つめて、その背後へ向けて指差した。


「さっきの女の子の霊が、マナミにとりついてるよ?」


そう言った瞬間、マナミがサッと青ざめた。


「そ、そんなわけないじゃん! だって、幽霊なんていないんだから!」


言いながらも、自分の背後を気にしている。


あたしはジッとマナミの背後へ視線を向けた。


もちろんそこにはなにもない。


あたしはただ演技を続けているだけだ。


「幽霊なんかいないって言ったとき、すごく怒った顔になったよ。もう、それ以上言わない方がいいよ?」


「う、うるさい! ウソつき!」


マナミは怒鳴り声をあげると、リサを連れて逃げて行ってしまったのだった。


あたしはその後ろ姿を見つめてほほ笑む。


上手く行った!


マナミとリサさえ黙ってくれれば、あたしの中学生活は順風満帆になる!


そう思い、鼻歌交じりに帰路へついたのだった。