具現化アプリ

☆☆☆

偽物の彼氏と一緒にいるくらいなら1人でショッピングをしていた方が、心は楽だった。


「こんなはずじゃなかったのになぁ……」


思わず呟く。


今日はノドカを悔しがらせてやることができると思っていたのに、ノドカは最初びっくりしただけで、全然悔しい顔を見せなかった。


元々、あたしの彼氏が本物じゃないとわかっていたからだろう。


その点、ノドカの彼氏は本物だ。


アプリで作りだした偽物とは違い、本当にノドカのことが好きなのだ。


そう考えると、ふつふつと怒りが湧いてきた。


今回ダブルデートをしようと声をかけてきたのはノドカだ。


もしかすると、あたしが悔しがるとわかっていて声をかけてきたのかもしれない。


ただの考えすぎかもしれないが、1度疑い始めると止まらなくなってしまう。


ノドカはあたしのことを見てほくそ笑んでいた子だ。