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桜翔太くんはスラリと足が長くて背が高く、並んで歩くと本当に兄妹みたいだった。


近くにいるだけで心臓がドキドキして頭の中が真っ白になりそうになる。


偽物でもこれだけ緊張するのだから、本人が近くにいたとしたら失神してしまうかもしれない。


そんなことを考えながら2人でコンビニへ向かう。


桜翔太くんは深く帽子をかぶっていたけれど、それでも道行く人たちは時々振り返って「さっきの人すっごいカッコ良くなかった!?」と、噂されていた。


本物のイケメンは隠そうとしても隠れないのかもしれない。


「ミキコ、手をつないで」


人の流れが多くなってきたところで、桜翔太くんが手を差し出してきた。


「えっ?」


あたしは一瞬とまどい、桜翔太くんの顔を見上げる。


帽子の中の顔は微笑んでいた。


「えっと、あの……」