蓮に他意はない。
そんな事、誰よりも分かっている。
だからこそ、これはあまりにも残酷すぎる。


「お前には散々世話になったから、やっぱり1番に報告したいじゃん?」


あぁ。やめて。
これ以上何も言わないで。
聞きたくない。聞きたくない。
まだ、私の中でこの感情にケリがついてないの。


「お前も双海と付き合いだしたんなら、ダブルでめでたいなって思ってさ!」


ヒビが入り、崩壊する音が聞こえる。
もう、ダメかもしれない。


「桜来? どうした?」


さっきから何も話さない私を心配したのか、私と目線を合わせる蓮。


「おーい、桜来さん?」


嫌だ。嫌だ。嫌だ。
蓮が取られる。
蓮が私から離れていく。

まるでダムが崩壊したみたいに、せき止めていた今までの感情が溢れ出し、私は蓮をベッドに押し倒した。