ふたつの羽根


…純也。

その名前を聞いた瞬間あたしの頭の中で、放課後の会話が頭の方隅に浮かぶ。


“ねぇ…何処行くの?”

“ちょっとツレん所”

“ツレって誰?”

“心配すんなよ!男だって…俺は里奈しか見てねーよ”


嫌なぐらい、その会話が頭の中を何度か通過していく。

何が“男”だよ!

微かに震えだす手をギュっと握り締め唇をかみ締める。


純也は高校1年の2学期から付き合っているあたしの彼氏。

1年の時、同じクラスになり話していく内に、あたしは純也に惹かれた。

特に純也は学年一モテていると言うわけでもない。