ふたつの羽根


「もう19時だよ」

呟いてすぐ、あたしの目の前に携帯電話を持ってくる。

辺りが暗い為、咄嗟に突き出された携帯が眩しく思い、あたしは少し目を細める。

画面に映るはっきりとした文字…


19時12分。

あたしは有亜を見て「もう少し」呟く。

有亜は携帯をすぐにパチンと閉じフッと息を吐く。

“もう19時だよ…”

あたしにとったら、まだ19時。

別に帰りたくないわけじゃない…

ただ、ここが落ち着く場所。


「もぉ!純也、見かけたら嫌でしょ?」