ふたつの羽根


陸…

わざわざ、こんな所まであたしを連れて真っ赤な空を見させてくれたんだね。

陸はホントにヒドイ男だよ。 

いつだってズルイ事ばっかして、あたしの目から涙を流す。


「ありがと…」

「ってか、また泣いてんの?」

「泣いてないよ」

「ばーか、泣き虫。だけど、そう言う所も俺は好き」


真っ赤な空の中、ギュッと抱き締められた途端、また新しく目じりから一粒の涙が頬を伝って落ちていた。 


「ありがと陸。好きだよ」 

「俺も…」


陸の隣に居れるのなら他には何も望まない。

隣に居るだけで幸せって思うから。

だから隣にいさせて?


でも、でもね最後にひとつだけ…

今まで離れてた…このずっともどかしかった距離感を隙間なく埋めつくしてよ?


あたしの唇に落ちてきた陸の唇で、また頬を伝う何かが落ちていた。


そして、つくづく思った。 

ホントあたしって泣き虫だ。 


何度も何度も重なり合う唇から離れたくないと思った。 


そして…


触れ合うこの瞬間が



一番好き…