ふたつの羽根


―――――
―――


「…な、里奈起きろって」 

陸の声とともに右肩を激しく揺すられ、あたしはゆっくり目を開ける。


「間に合った」


叫ぶ陸の声に「何が?」とあたしは返す。


「見ろよ」


前方に指差す陸を見て、あたしも目線を前方へと向ける。 


「うそっ…」


一気にあたしの目は冴えて思わず車のドアを開けて飛び出した。


「きれーーッ。何これ」


目の前に広がるのは海。

水平線から顔を出しているのは真っ赤な太陽だった。 

「凄い、凄いよ。空が真っ赤だよ」 


はしゃぐあたしを見て隣に居る陸は微笑む。


朝焼け…

真っ赤になった空はとてつもなく綺麗で、普段の青い海でさえ赤く染まっていた。 


この赤くなった空に吸い込まれそう。