ふたつの羽根


車に乗ってから会話と言う会話は全然していない。

だけど、そんな空間でもあたしは凄く落ち着けた。


それは陸が隣にいるから。



あまりの道の距離に、あたしは眠さが増す。



「うわっ、最悪」


陸の声で閉じかけていた、あたしの目はパチッと開き陸に目を向ける。


「あっ、ごめん。起こした?」

「ううん…」

「里奈寝とけよ。もうちょいかかりそうだし、しかも渋滞。…こんな時間に」 


フロントガラスに目を向けると前にも横にもギッシリ車は詰まっていて、今いるのは高速道路だって事に気付く。


陸、何処行くんだろ。ってか時間掛かりすぎ…

車のデジタル時計を見ると、もう夜中の2時を過ぎていた。


「間に合わねぇかも」 


密かに聞こえた陸の声を耳にし、あたしはあまりの眠さに勝てなくて目を閉じていた。