ふたつの羽根


「そんな事って…里奈だって抱いてって言ってきたじゃん」

「そ、それは…」


咄嗟に出た行動で…って、どう考えても咄嗟じゃないよね。


「それは何?」

「何でもないよ。陸のバカッ」 


眉を寄せて座り込んでいるあたしに「早く立てよ」と陸はあたしの腕を引いて立ち上がらせた。


家を出て、車に乗り込んですぐあたしは口を開いた。 


「ねぇ、何処行くの?」

「着いてからのお楽しみ。ってか間に合ったらの話だけど」

「間に合ったら?」

「そう…」


陸はエンジンをかけて車を発進させる。

しばらく経ってから、あたしの住んでいる街から外れ知らない街中に入っていった。 

辺りは街中の輝きで埋めつくされる。