ふたつの羽根


甘い声で囁かれてすぐ陸の唇があたしの唇へと落ちてきた。


その重なり合った唇はすぐに離れて「じゃあ行くぞ」と陸はあたしの身体を離す。 


立ち上がって車の鍵を手にする陸に「えっ!行くって何処行くの?」とあたしは思わず声をあげた。


声を上げるあたしに陸はフッと笑って、あたしの顔を覗き込む。


「もしかして…ヤっちゃうと思ってた?」

「そ、そんな事…」


…言わないでよ!

端正な顔で微笑む陸を見て思わずあたしの目は泳ぐ。 

そんなあたしを見た陸は、うっすら笑って口を開いた。 


「それは帰って来てからね」 

「だ、だからそんな事、言わないでよ」


高鳴る鼓動はどうしても治まるわけもなく一段と早く打ち付け、思わず恥ずかしくなり俯く。