「ごめんな…」
首を振るあたしの頭をそっと撫でて陸はあたしの身体を離す。
「家ん中、入ろ」
先行く陸の後ろ姿を見ながらあたしは家の中に入った。
テーブルの上にビニール袋を置き床に座り込む陸にあたしは口を開く。
「陸…。勝手かも知れないけど、あたし陸じゃなきゃ駄目だよ。陸の事好きだよ。だから別れたくないよ…」
初めてだった…
人に初めて、ここまで気持ちをぶつけた事が。
でも伝えなきゃ離れていきそうで怖かった。
「俺…。別れたいなんて一言も言ってねぇけど。これからも里奈と一緒にいるよ」
“約束したじゃん。ずっと里奈の側に居るって”
陸はそう付け加えて、立ち尽くすあたしを見ながら手招きをする。



