「着いたわよ」
彩乃さんの声にハッとして急いで車から飛び下りた。
そのまま彩乃さんは何も言わずに車を走らせた。
車の姿が見えなくなった後、あたしはすぐに家のチャイムを押した。
しばらく経っても誰も出て来ず、それどころか家の明かりすら点いていない。
どうしよう…
携帯持ってきてないし。
しばらく立ち尽くすあたしの背後から「里奈?」と声が飛び掛かった。
すぐに後ろを振り返るとコンビニでも行ってたのか手にビニール袋を下げた陸が立っていた。
「陸ッ…」
あたしは思わず声をあげ陸に飛び付いた。
手に持っている額をギュッと陸の背中に押しつけ陸をきつく抱き締めた。



