ふたつの羽根


「よっ!」

軽く手をあげて「おはよ」と声を掛けてくる。

あたしはため息をつき口を開く。

「授業始まってる。担任の授業だから来たほうがいいよ」

「あー…担任かよ」

と呟き田上は先輩達の方に目を向ける。


「担任なんで抜けるー」

そう大きな声で先輩達に告げ田上は足を進める。

田上は後ろを振り返り「担任キレてる?」と首を傾げる。

「いや…キレてはいないけど…」

「けど何?」

「抜けるって何か悪いことでもしてた?」

田上は階段を一段飛ばしに降りながら「何もねーよタバコしか」と声を出し最後の階段の三段をジャンプした。