顔を見て一番初めに言う言葉はあまりにも心を痛みつけた。
勢いよく降ってくる雨は傘の上で弾き、それが地面へと流れ落ちて、その水しぶきがあたしの足を濡らしていく。
【あたし別れないって言ったはずですけど】
眉を寄せるあたしとは逆に彩乃さんは不愉快な笑みを漏らす。
ドきつい香りが暖かい風とともに、あたしの所まで流れ込み鼻を痛める。
【これで最後。早く別れて!邪魔だから】
そう吐き捨てて彩乃さんは睨み付けた。
屋根の下にいる彩乃さんとは逆に雨しぶきがかかるあたし。
足元もビニール袋も氷のような冷たい雨に打ち付けられる。
初めて見せた彩乃さんの鋭い目付きは恐いと言うよりも不快だった。



