“前の女ですら幸せにできてねぇのに…”
そう付け加えて立ち上がり「それが理由」と言って足を進める。
「あっ、それと」
田上がクルっと後ろを振り返ったと同時にあたしは立ち上がりスカートについていた草を払いのける。
「俺さ、今は里奈の事、何とも想ってねぇから」
「それはそれで、ちょっとキツイね…」
苦笑いするあたしに「えっ何?想ってほしいの?」と田上は笑う。
「いや…そうじゃないけど」
「なんだよっ」
呟いて足を進めていく田上の背中に「ねぇ」と声を張り上げる。
「ん?」
もう一度、後ろを振り返る田上に「田上はまだ前の彼女が好きなんじゃないの?」と叫んだ。



