ふたつの羽根


「それは里奈が好きだったからじゃない。でも里奈の事を想ってた事はホント」


あたしの何かがドキッとした。それは何かは分からないけど…

だから余計にあたしの口は開かない。

だって、何を言っていいのか分からないから…



「俺、女いんのに、とっかえひっかえ色んな女と遊びまくってて、それに深く入り過ぎてた。でっ、その女に別れ告げられた」


田上は深刻そうに流れる川を見て口を開いていった。 


「アイツ言ってたじゃん。別れてから大切だって気付いたって。ホントに俺もそうだと思った。別れてから気付いて、その女に“もう一度”って言ったら、もう新しい男できてた。それはそれで俺にとったら結構キツイ事だった」 


田上の顔はどことなく淋しそうで、でも真剣だった。