田上は階段の真ん中ぐらいの壁に背をつけ、ポケットに両手を突っ込んだまま自分の足元をジッと見つめていた。
…いつから居たの?
いてもたっても居られないあたしは、すぐに階段を駆け下りる。
この胸の騒めきは何?
階段を駆け下りた息苦しさからきてるんだろうか…
それとも…何だろう。
嘘だよ。
田上があたしの事、想ってたなんて…
あたしに恋愛感情があるわけないじゃん。
走って走って下駄箱までたどり着いた時だった…
「待てよ」
右腕をギュッと掴まれたと同時に、あたしの足は立ち止まり後ろを振り返る。
「田上…」
そこには、あたしと同じく息をきらした田上が立っていた。



